脳内百景

3ピースロックバンド"The Highways"のギターボーカル、徳永の脳内。

際限のないデジタル化

この間ちらっと新聞を見る機会があった。

気になったのはメインの記事ではなく、下部にある広告欄。絵本の広告が載っていた。

「デジタルではなく、手元に残しておきたいと思える絵本です」とかそんな感じのことが書いてあったと思う。

もちろん今や電子書籍は一般化しているし、音楽ならCD、その他の分野でも物体が消えていく傾向にあるのは承知していたつもりだったが、絵本も電子書籍化されているというのは何故か頭になくて驚いた。とうとう絵本もかと思ってしまった。

デジタル化、形をなくす事、これは本当に際限がない。端末も必要とせず、頭の中に直接文字を出現させたり音楽を流したりなんて事も別に想像に易い。遠い未来の話でもなさそうだ。 

 

 

 目の前にコップがある。これを読んでいるあなたも、コップを取ろうとして誤って倒してしまい、中にある冷たい液体を机の上にぶちまけた事があるだろう。脳で思考して浮かんだイメージ通りに体は意外と動かない。イメージと実際の行動の差を全て埋めることは実体がある以上は難しい。 

つまりは媒体が間に挟まれば挟まるほど、エネルギーも使うし、変化が生まれてしまう。伝言ゲームなんかもそうだ。100人が伝言ゲームをしたら、最後の人はどれだけお題から離れた言葉を口にするだろう。

 

デジタル化することは無駄なエネルギー消費をなくし、エラーを極力減らすことにつながる。効率もとっても良いし、画一化はされていくだろうが、所謂「人間らしさ」とか、「個性」とかいうものはそのエラーから生まれてくるものではないか。

恐らく様々なことが画一化される方向に世界は動いていると思うが、それは良いことなのだろうか。どんなにそれが進んだ社会なのだとしても、なんだか寂しい気がしてしまう。

結局僕は人間のエラーを愛している。間違いを犯すことができる間はまだまだ成長ができるってことかもね。