脳内百景

3ピースロックバンド"The Highways"のギターボーカル、徳永の脳内。

ブログをnoteに移行しました

2020年11月からブログをnoteに移行しました。 記事はそちらで書いていますのでよろければこちらからどうぞ→https://note.com/highways

人間臭い旗を掲げて

最近はもう、いかに人間臭さを自然に残すかが重要だ。 作品も、私生活も。デジタル(という言い方がなんかもう古い気がする)ができる範囲が広くなっていくにつれ、人間だけが出来ることは狭まる気がする反面、浮き彫りになってくる。 僕は比較的昔のアニメ…

本:-豊饒の海-暁の寺

この本は、三島由紀夫が人生の終わりに書き残した長編小説、全4巻のうちの3巻だ。 内容が濃くなってゆくので先に言っておくと、僕は信じている宗教はなく、輪廻転生も信じていない。 今回はこれまで転生してきた主人公を見届けてきた本多が中心となって物語…

本:豊饒の海-奔馬-

この本は、三島由紀夫が人生の終わりに書き残した長編小説、全4巻のうちの第2巻だ。 第2巻は第1巻の18年後が舞台。第1巻で壮絶に若さと命を燃やし、死へ向かった清顕は、第2巻で10代の若者、飯沼勲へ転生する。 当の本人は前世の記憶はなく、その事実に気が…

本:豊饒の海-春の雪-

この本は、三島由紀夫が人生の終わりに書き残した長編小説、全4巻のうちの第1巻だ。 この話は、松枝清顕と聡子の恋愛が中心であるが、決して美しい恋愛話とは言えない。 美しい点があるとすれば、若くて世間をしらず、利己的な、清顕の命のエネルギーの燃焼…

日常短編シリーズ:変わり目

これはフィクションであり、ノンフィクションの話でもある。 黒い革靴の表面を車のライトが滑り抜けてゆく。 既に日は完全に落ちていて、街灯や信号の光が闇に浮き上がっている。 少し肌寒い。半袖のTシャツで出てきた事を間違っていたとは思わない。昼間は…

体験は脳みそのシワに刻まれる

現在の世の中は、音楽だけでなく、映画等も含めてサブスクリプションが当たり前となりつつある。 システムとしては本当に便利で、さほど高くない定額を払えば観たいもの、聴きたいものを短時間で探し出し、おもしろくなければすぐに切り上げることができる。…

映画:ゴジラ対ヘドラ

1971年公開、ゴジラシリーズ第11作目。 当時問題となっていた大気汚染や水質汚染を取り上げたゴジラ作品。 汚染により発生したヘドロの中から生まれた怪獣としてヘドラが描かれる。 ヘドラのデザインは奇妙で不気味。成長により姿が変化する上、飛行形態か…

日常短編シリーズ:隣のあんちゅわん

これはフィクションであり、ノンフィクションの話でもある。 新型ウィルスの感染拡大の影響により、家にいる事が多くなった。 僕がしている仕事は自粛の対象ではないため出勤は以前とさほど変わらずしているが、バンドの練習やライブができないためその分時…

尊敬と崇拝

尊敬と崇拝は全く別物だ。 僕は尊敬の念を抱くことはあるが、崇拝については永劫することはないだろう。 神様のように崇める存在(人間)は僕にとって存在しない。なぜなら心の中に「所詮人間は人間なのだから」という思いが常に存在しているからだ。 これは…

泥だらけの坑夫

いつの間にか前の記事を書いてから時間が空いてしまった。現在、世間は殺伐としていて、鬱屈している。これ以上事態が悪くならない事を願いつつ、自分は気にしすぎずいつもの生活を続けていこう。(もちろん予防はしっかりする) さて、最近の僕と言えば曲作…

人間は多面体

人間は多面体だ。 つまりたくさんの面を持っているということだ。 家族といるとき、恋人いるとき、友達といるとき、職場にいるとき、独りでいるとき。 数え上げればきりがないほど面がある。 この多面体であるということを意識していない人は意外と多いのか…

2019年、総括。

2019年が終わる。 例年に比べて、気温が高めな年末な気がする。昨年の年の瀬にも一年を振り返る文章を書いていた。今年も少し振り返ってみるとしよう。 何と言っても今年はThe Highwaysがバンドとして再稼動した年だ。昨年末あたりまで、ドラマーが抜けた状…

映画:JOKER

ジョーカーをみた。久々に鑑賞中に身体がこわばる映画だった。非常に個人的な、社会、他人への憎しみが社会情勢とうまく(逆に言えば不幸にも)噛み合った結果生まれた物語だ。 個人的な社会や他人への憎しみは、遺憾無く爆発されたまま物語は終わる。ただ僕…

近況。

気がつけば11月に入っていた。 朝晩は肌寒く、暖かいものがおいしくなってきた。今回は近況報告をしてみたい。主にバンドについてだ。 最近のThe Highwaysは定期的な発信を心掛けるようになった。 具体的には週一回の路上ライブと、月2回のカバー動画の収録…

日常短編シリーズ:その本を読みたい

これはフィクションであり、ノンフィクションの話でもある。 その本を読みきりたかった。 深夜1時を過ぎてバイトを終え、帰路に就く。1冊の本を読みかけていた。バイトの休憩中にも読んでいたが読み切れず、あと3分の1くらいは残っている。明日は忙しい…

[曲解説]2ndシングル『This is fun?』

先日、8月11日に下北沢LIVEHOLICにてレコ発ライブ、『This is fun!!』を開催した。 関わって頂いた全ての人に改めて感謝を述べたい。 さて、今回はシングルに収録した3曲について話してみたいと思う。 本来僕は曲について語ることは野暮だと考えている。音楽…

夏がやって来た

梅雨が終わり、夏がやって来た。 夏という季節は好きだ。あまりにも強い太陽の光は時に体力を奪うこともあるが、基本的には好きだ。 なぜなら夏は様々なパワーに溢れているからだ。 僕たちの心は案外天気や気候に左右されている。雨の時は憂鬱になったり、晴…

日常短編シリーズ:なんでもない日

これはフィクションであり、ノンフィクションの話でもある。 ハッと目が覚めた。昨日遅くまで酒を呑んでいたため、からだが非常に重い気がする。 部屋の中はカーテンの隙間から漏れる光と、透けてみえる微かな光によって真っ暗ではない。 今日はバイトがある…

ノスタルジーの正体は?

早すぎる夏が到来した、と言って異論を唱える人はいないだろう。梅雨入りも発表され、季節は次から次へと移り変わっていく。 最近刑事物語という映画を観た。武田鉄矢主演で1982年に公開された。5まであるシリーズものだが、今回は1だけ視聴。感想を述べよう…

レコーディング

長いゴールデンウィークが終わる。 まあ自分にとっては休みがあるわけでなく、特に関係はなかったと言える。 とはいえ街の空気は休日の気配を孕んでいるし、人々の足取りは穏やかに見えたりする。気温も相まってなんとも生ぬるい感覚はした。この期間で多く…

季節の流れを感じていたい

人間は、いや、少なくとも僕は同じような環境や状況が続き過ぎると自分が変化せず、成長していない気がして気分が荒れてくる。それを避けるためには何処かで必ず新しい挑戦を、若しくは新しい要素を生活に取り入れねばならない。別に大きすぎなくてもよい。…

1970〜1980年代への想い

前々からなんとなく気がついていたのだが、僕が好きなものには70年代〜80年代に創られたものが多い。 アニメや映画、音楽に至るまで、気がつけばその辺りの年代に好みの作品が集中しているようだ。それ以前のものや新しいものにも心を打つ作品はもちろんある…

ミロコマチコさんの絵について

今回はミロコマチコさんという画家、絵本作家について話したい。 僕がミロコさんの絵を初めて真正面から体験したのは、去年の春くらいだと思う。世田谷文学館という施設で企画展があり、それを観に行ったのだ。 以前から家がそう遠くない事もあり、世田谷文…

2018年、総括。

年の瀬も年の瀬だ。 今外にいる。昨日よりは寒さが和らいでいるような気がする。風がない分空気をしっかり感じられる。締まっているけど、どこか温もりを感じる。家の中の、年末年始特有の温もりある雰囲気が、外に漏れ出しているのかもしれない。 2018年は…

珈琲と僕

珈琲は僕にとって生活必需品と言っても過言ではない程、日常生活にあって当たり前の物になっているかもしれない。 朝起きて出掛ける前(だが大抵出掛ける直前に目を覚ますため、優雅なコーヒータイムは夢と消える)、移動の合間、余暇の時間、ライブ前、眠る…

世の中は曖昧な謎だらけ

寒さが増してきて、季節が秋から冬へと変わろうとしている。 季節の変り目には風邪を引きやすいとよく言う。自分もこの文句はよく使うし、最近も誰かとそんな話をしたばかりのような気がする。ただよく考えると何故季節の変わり目だから風邪をひきやすいかを…

漫画:人造人間キカイダー

今回は石ノ森章太郎が描いた人造人間キカイダーについて書く。多少ネタバレを含むので、読む予定がある方は自己責任で。 特撮作品としてのキカイダーの方が世間一般的には有名なのかもしれないが、今回はあくまで漫画版原作について書く。 まず興味を引くの…

真夏のコインランドリー

先日Tシャツを買った。 味のあるプリントが気に入ってネットで注文し、ワクワクしながら配達されるのを待っていたのだが、いざ届いたら少しだけサイズが大きい。これ以上小さいサイズはないため、なんとか縮める方法はないかとネットで調べた。 すると熱湯に…

際限のないデジタル化

この間ちらっと新聞を見る機会があった。 気になったのはメインの記事ではなく、下部にある広告欄。絵本の広告が載っていた。 「デジタルではなく、手元に残しておきたいと思える絵本です」とかそんな感じのことが書いてあったと思う。 もちろん今や電子書籍…